【読んでおくべき本】経済評論家の父から息子への手紙【人生訓】

書評

こんにちは、Kei750です。

ここしばらくアメリカ株の調子が悪いですね。

そんな時には、初心に帰って名著を読み返していきましょう。

今回ご紹介するのは、昨年お亡くなりになられてしまった、山崎元さんの最後の著書です。

投資の話だけではない名著

この本から得た教訓:
人の幸福感はほとんど100%が「自分が承認されているという感覚」(「自己承認感」としておこう)でできている。

息子への手紙というタイトルが付いているだけあって、株式投資に関してだけでは無く、生き方に関してのメッセージが多く含まれています。

むしろ投資の話よりも人生訓の方が心に染みます。

アマゾンの内容紹介
”【山崎元 最後の書き下ろし】「余命3カ月なら、ぜひやっておきたいと思った3つのことのうちの一つが本書の執筆でした。(中略)息子にも、読者にも、本書が経済と付き合う上で、いつまでも役に立つ『明るい人生のマニュアル』であり続ける事を、著者は心から願っています」(あとがきより)

●実際に息子へ送った手紙「大人になった息子へ」からできた本作品。手紙原文も全文収録。
大学に合格した息子へ手紙を送ったことをきっかけに、闘病の中で新たに書き下ろし、書籍化。株式市場との付き合い方、最初の仕事の選び方、リスクとサンクコストについて、自分の人材価値とは・・・。人生をサバイブする戦略が満載。「モテ」や「酒の飲み方」などの楽しいアドバイスも。

●一度しかない人生を、お金の心配をせず、自由に気分よく生きていくために。
自身も12回の転職を経て体得した処世術も多くちりばめられ、読者に多くの気づきを与えてくれる一冊。働き方・投資やお金との付き合い方だけでなく、「幸福の決定要素は、実は一つだけ」「モテない男は幸せそうに見えない」など、経済評論家・山崎元が考える「小さな幸福論」を語ります。

●息子にも、これからを生きるすべての若者にも、『明るい人生のマニュアル』であってほしい。
「銀行でお金の相談をするのは、カモがねぎを背負って来るようなもの」――金融機関にだまされるな、マーケティングにだまされるな、「おいしい投資話」にだまされるなと、つねに辛口かつユーモラスに語り、人気を博してきた経済評論家・山崎元さん。彼が、これからを生きる息子へ、そして、すべての読者に向け、自身が長年追究してきた、お金と人生、幸せについて、いちばん大事なことを、渾身の力を込めて書き下ろした最後の一冊です。

世の中にある運用商品の99%以上は、はじめから検討に値しないクズである。
という辛口の主張でインデックス投資を勧めてくれた、一般投資家にとっての救世主、山崎元さんの最後の1冊です。

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働き方、稼ぎ方

サラリーマンの場合なら、「できるだけ大手の安定した会社に入り」、「失敗を避けながら人事評価上の競争を勝ち抜いて」、「なるべく偉くなること」が目指すべき職業人生だった。

子供の頃から両親、特に母親に言い聞かせられていたような人生が昭和生まれの働き方の常識でした。

同じぐらいの年齢の方ならよく分かるのではないでしょうか?

時代によって変化してきているとは思いますが、未だにこの考え方は主流のような気がします。

これを著者は「つまらない」「割が悪いからやめておけ」と一刀両断している。

時間の切り売りによる、安定した(と思われる)仕事は通用しなくなってきていると。

工場閉鎖によって会社を放り出された身としては、なんとも実感できる言葉です。

「自分を磨き、リスクを抑えて、確実に稼ぐ」よりも
自分に投資することは同じだが、失敗しても致命的でない程度のリスクを積極的にとってリスクの対価も受け取る」ことを勧めています。

ここで言うリスクとは、単に株式投資ということではなく、株式というものに関わっていくということです。

自分で起業したり、企業に参加したり、ストックオプションで報酬を貰える企業で働いたりといったことです。
最初の2つはなかなか難しいかもしれませんが、外資系ならストックオプションを利用できる会社も意外と多いのではないでしょうか?

これから社会に出ていく人や、転職を考えている人には大きな参考になると思います。

お金の増やし方と資本主義経済の仕組み

資本主義経済は、リスクを取りたくない人間から、リスクをとってもいい人間が利益を吸い上げるようにできている。
労働者は安定と引き換えにそこそこの賃金で満足する。合意の上での契約だ。彼らこそが、世界の養分であり経済の利益の源なのだ

かなり衝撃的な言葉です。

改めて自分の半生を思い出してみても、リスクの少ない方少ない方に選択肢を取ってきた気がします。

皆さんはいかがでしょう?

そのうえでお金の増やし方を以下のように解説してくれています。
基本はこの3つだけです。

1.生活費の3-6ヶ月分を貯蓄として現金で保有し、残りを運用資金とする
2.運用資金は全額「全世界株式のインデックスファンド」に投資する
3.運用資金に回せるお金が増えたら同じものに追加投資する。
  お金が必要な事態が生じたら、必要なだけ部分解約してお金を使う

ここでようやくインデックスファンドという言葉がでてきました。
この3つで投資対象、買うタイミング、売るタイミングのすべてが明確に示されています。

また、運用の3原則として有名な「長期」「分散」「低コスト」も出てきます。
知っていても、著者に改めて念をおされると、安心感が出てきます。

更に、数々の証券会社に勤めてこられたというのに(勤めてきたからなのか)アクティブファンドを全否定しておられます。

アクティブファンドに年率1%もの手数料を払うことがどれだけアホかは、考えてみなくてもわかるだろう

と思いっきり毒舌を吐かれています。ププッと笑ってしまいます。

一方で著者は稼いだお金をおおらかに使うことも推奨している。

特に自分への投資は渋ると将来の自分が貧相になってしまうと述べています。
特に、知識、スキル、経験、人間関係、時間への投資を勧めています。
そのうえで、お金が足りないと思ったら節約よりも先に「もっと稼ぐ方法はないか?」と考えるようにも書いています。

そのほうが人生は圧倒的に面白くなると。

もう少し話しておきたいこと

この章では様々なコツを伝授してくれています。

最初の仕事の選び方、時間の価値を意識すること、付き合うべき人間関係、会食への心構えなどなど。

個人的に頭に残ったのは「サンクコストにこだわるな」というコツです。
「サンクコスト」とはすでに発生していて回収が不可能なコストのことで、「もうこれだけのコストかけたのだから後戻りは出来ない」といった判断をしてはいけないということです。

これから必要なコストとメリットを秤にかけて得すると思えば続け、損をすると思えば止めるという判断が必要ということです。

投資で言うところの損切りがこれにあたります。
経済的合理性と感情の間で判断に迷ってしまいがちですよね。
自分にできるかどうか、難しいところです。

小さな幸福論

この本から得た教訓のの一番大きいものです。

人の幸福感はほとんど100%が「自分が承認されているという感覚」(「自己承認感」としておこう)でできている。

仲間内の称賛が大きな経済価値よりも大きい、というのは確かにそうだとも思います。

いわゆる承認欲求というものだが、私自身を考えてみても「他人とは比べたくない」「人は人、自分は自分」とは思ってはみても、どこかで他人を意識していることは否めないように思います。

SNSなどで自分の生活を公開したいとは思わないが、どこかで羨ましいと思う心もあります。

一人用のゲームも楽しいけれど、オンラインゲームで競い合うのも楽しい。みたいな。

著者はこの承認欲求、つまり他人の価値観からの影響から抜け出すために、自分の嬉しいことを言語化してみては?と提案してくれています。

そうすればブレずに日々を暮らしていけるかもしれない、と締めています。

まとめ

投資に関することよりも、むしろそれ以外の人生訓になる教えが多かったです。

自由に生きていくためにはある程度のお金は必要だが、そのお金を得るためにはある程度の自由を犠牲にする必要があることが多いです。むしろ好きではない仕事で我慢して稼ぐことが豊かさへの近道のことも多いと思います。

そのバランスを保つため、または少しでも自由を維持しながら稼いでいくにはリスクを取る必要があるということを教えてくれました。

特に若い人、これから社会に出る人に読んでもらいたい本です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
ではまた。

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