大統領・首相の株取引——インサイダー規制の「抜け穴」を考える

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こんにちは、Kei750です。

このブログでは退職をきっかけに、サイドFIREを目指すことを決めたおっさんが、
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先週末は久しぶりにガツンと米国株が落ちましたね。

S&P500で-1.24%、ナスダック工業指数で-1.54%の下げとなりました。

ブルームバーグのニュースですと、原油価格の高止まりやインフレ抑制のために中央銀行が金融引き締めを迫られるとの懸念が強まったからとのことです。

S&P500の1日のチャートを見ると、確かにガツンと下がっていますね。

Trading Viewより引用

これを1年のチャートで見ると、よくわかりませんね。
確かにか下がってはいるけれど、1年間で見るとそんな下げはたくさんありすぎて、むしろ小さい方に思えます。

Trading Viewより引用

グラフの下段にあるように、1日以外の5日、1か月、6か月・・・はすべて緑色、つまりプラスになっています。
投資を開始して5日後、1年後、10年後、すべて含み益です。

ですから慌てて売ったりしないで、ゆっくり持ち続けておきましょう。
Just Keep Buying」ですよ。

さて、では本日の話題にうつりたいと思います。

トランプ大統領の「異例」な取引量

本日のニュースにちょっと驚いた話題がありました。

トランプ米大統領が2026年1〜3月の3ヶ月間に、3700件を超える株式取引を行っていたことが、米政府倫理局への財務開示書類から明らかになったとのことです。

1日平均40件超、取引総額は数千万ドル規模。
少なく見積もって150円換算で15億円。多ければ100億円。
とてつもない金額です。

ウォール街の関係者からも「ヘッジファンドによるアルゴリズム取引のようだ」という声が上がるほどの取引量です。

エヌビディア、マイクロソフト、ボーイング、Netflixなど、まさに大統領の政策判断が直接影響する企業の株が対象となっており、利益相反への懸念が改めて浮上しています。

「大統領の政策決定」はインサイダー情報に当たるのか

ここでちょっと疑問点が浮かび上がってきます。

一般の感覚では、大統領が軍事行動や大型経済政策を決断する前に関連株を売買することは、インサイダー取引になるのでは?と。

しかしこれがそうでもないようなのです。

米国法上は必ずしも単純ではなく、米国のインサイダー取引規制では、重要な未公開情報の存在に加え、「信認義務違反」つまり他者から不正に情報を得たという要素が必要とされます。

大統領が「自ら政策を決定する立場」にある場合、その情報は他人から盗んだものではなく自分自身の判断であるという解釈の余地が生じます。

これが通常の企業インサイダー——決算前に株を売買するCEO——との法的な構造の違いです。

おっさん
おっさん

んん?わかったようなわからないような。

自ら政策を決定する立場にあるからこそ、その決定を知っている大統領が株取引をしたらインサイダーになるんじゃないの?と考えるのが普通ではないでしょうか。

屁理屈を言っているだけのような気がします。

ただし、側近や家族を通じた隠蔽取引、国家権限の私益目的利用が認められれば、汚職や証券詐欺として別の法律問題になりえます。

実際、COVID-19パンデミック初期には複数の米上院議員が事前に大量売却を行い、大問題になりました。

おっさん
おっさん

問題になるだけなのか、、、

歴代米国大統領の対応——オバマ、バイデン、そしてトランプ

しかし歴代の大統領はそのあたりを踏まえて行動しています。

オバマさん、バイデンさんは、利益相反を避けるため独自の対応を取ってきました。

オバマ元大統領は在任中、資産の大半を財務省証券と分散型投資信託に置き、個別株・債券の売買を行いませんでした

バイデン前大統領も同様に、在任中の株取引を行わない方針を貫いています

両者の共通点は「個別株を持たない」という明確な姿勢です。

一方、トランプ氏は1期目・2期目ともに、ブラインド・トラスト(本人が中身を知らない形で第三者に運用を委託する仕組み)を採用せず、息子たちが運用する信託形態を選択しました。

この違いが今回の問題の根底にあります。

なお、米国では2012年のSTOCK法により、大統領を含む公職者に対して一定額以上の取引を45日以内に開示する義務が課せられており、トランプ氏はこの開示義務に該当する初の大統領となっています。

「この45日以内に開示」という法律を破ったため、トランプ氏はいずれについても罰金を支払っているますが、遅延した開示1件につき200ドルだけだそうです。

なんだそりゃ。

日本の首相・閣僚はどうか——「大臣規範」という慣行

では、日本ではどうでしょうか。

結論から言えば、日本の首相や閣僚が在任中に株取引を行うこと自体は、法律上は禁止されていません。

ただし、2001年の閣議決定による「大臣規範」において、閣僚は在任中に有価証券や不動産の取引を自粛するよう定められています。

また、保有株式は在任中に信託し、変更・解約をしないことが望ましいとされています。

これは法律ではなく政治倫理上のルールですが、事実上かなり強い拘束力を持ちます。

理由はシンプルで、防衛大臣が防衛予算拡大を事前に知って防衛株を買う、経産大臣が補助金政策の前に半導体株を取得するといった行為が起きれば、市場の公平性が根本から崩れるからです。

直近の岸田前首相、石破現首相とも、在任中の個別株売買は公には確認されていません。

おっさん
おっさん

一応、公平性は守られているようですが、あくまで慣行ということなんですね。
「自粛する」とか「しないことが望ましい」なんて言葉で制限されているだけ。

法律では決められていないようです。

一般の国会議員については米国のSTOCK法に相当するような詳細な売買開示制度はなく、実態は見えにくい状況です。

ちなみに日本のインサイダー取引とは?

日本の法律で言うところのインサイダー取引というのは、金融商品取引法(金商法)166条・167条で規制されています。

大きく4つの条件が問題になります。

1.会社の内部情報を知ることの出来る人物
  社長、社員、派遣、アルバイト、株主、銀行員、取引先、元社員、情報を聞いた家族、知人
  などかなり幅広いです。
2.重要事実を知っている
  業績、大型受注、新製品、自社株買い、買収、不祥事、など良い情報も悪い情報も含みます
3.公表前
  ニュースや適時開示などで市場に広く知られる前
4.株を売買する
  その情報を使って株の売買を行う行為

これらの条件が揃うと法律違反となってお縄となります。
しかも結構重罪で、個人だと不正で得た利益を没収されたうえで5年以下の懲役、500万以下の罰金または両方になります。
法人だともっと重くなるようです。

ここまで調べてみると、やっぱり大臣や首相が政策決定前に株式売買やるのと同じじゃんとなりますよね。

自らへの枷も厳しくしてもらいたいものです。

制度の限界と投資家へのメッセージ

今回のトランプ氏の件が示す本質的な問題は、「違法か否か」ではなく、政策決定権を持つ者が市場で利益を追求することへの倫理的・民主主義的な疑念です。

「株で儲かるから軍事行動を決断したのでは」という疑惑が生じるだけで、国家への信頼は揺らぎます。

米国では「禁止より透明性(開示)重視」、日本では「自粛・慣行」重視という対照的なアプローチが取られていますが、どちらも完全な解決策とは言えません。

私たち一般の長期インデックス投資家の立場から見れば、政治リスクや地政学リスクは相場の一時的なノイズですが、こういった立場を利用した行為には釈然としないものがありますね。

ただし、我々一般人があれこれ言っても仕方がないことですし、投資をやめる理由にはなりません。

世界経済全体の成長を長期で享受するインデックス投資の考え方は、こうした不確実性に対しても合理的な対処法だと改めて感じます。
(声を上げることは大事だと思いますけれども)

相場は読めませんが、淡々と積立を継続することの意味は、こういうニュースを見るたびに確認できる気がしています。

それでは今日のところはこのあたりで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
ではまた。

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