スキー場を救う技術とアイデア:雪農場が変える冬の未来

News

こんにちは、Kei750です。

このブログでは退職をきっかけに、サイドFIREを目指すことを決めたおっさんが、
悪戦苦闘しながら投資や副業に取り組む過程や、それらに関連する書籍やガジェットを紹介、発信しています。
また当ページのリンクには広告が含まれていることがあります。

雪が減っている。スキー場に何が起きているのか

みなさんはスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツに出かけることはあるでしょうか?

雪の降る地方に住んでいた頃は、スキー場がOpenすると毎週のようにスノーボードに行っていましたが、最近はとんとご無沙汰です。

そんなウィンタースポーツですが、最近スキー場に関するちょっと気になるデータを見つけました。

国内で営業しているスキー場の数が1999年の698カ所をピークに減少を続け、2025年にはついに417カ所まで減ったというのです。
約4割減、過去最少の更新です。

背景には複合的な要因があります。

スキー人口の激減(1993年のピーク時1860万人が2024年には420万人へ、スノーボード込みでも約8割減)、施設の老朽化、そして温暖化による雪不足。

「寒い、ご飯がありきたり、荷物が重い」といったネガティブイメージが重なり、若い世代を中心に客足が遠のいていきました。

一方でインバウンド需要は堅調で、2025年の訪日客は11月時点で約3906万人と過去最多ペース。
国内客が離れていく中、外国人観光客が下支えするという構造になっています。

問題は人口動態だけではありません。
アメリカで2018年に発表された研究によれば、1982年と比べて2016年時点でスキーシーズンは平均34日も短くなっていました。

1か月分減っています。
そもそもスキーのシーズンって短いイメージなのですが、それが更に1か月減っているというのです。

気候変動は、スキー場というビジネスの根幹にある「雪」そのものを奪いつつあります。

50億ドルの損失。北米スノーリゾートが直面する現実

アメリカの状況はさらに深刻です。

気候変動専門メディアの分析によると、2000年から2019年の間にアメリカのスノーリゾートがシーズン短縮・来客数減少・人工雪製造コスト増大によって被った損失は合計50億ドルを超えるとされています。
温暖化が進むほど、この数字はさらに膨らみます。

「実際に温暖化が進んでいるのか?」といった議論に関してはここでは避けますが、雪は実際に減っているようです。

2026年1月頃のコロラド、ユタ、ワシントン、オレゴン、カリフォルニア、ネバダなどアメリカ西部全域の積雪量は平年比15〜65%という水準だったようです。

シーズン中に一部エリアが閉鎖され、スタッフの労働時間を削減したリゾートも多かったといいます。

全米スキーエリア協会は「クライメート・チャレンジ」と称するフレームワークを設けて各リゾートの温室効果ガス削減を促していますが、専門家は「業界の対応は危機の規模と緊急性に見合っていない」と指摘しています。

スキー場へのアクセスや通勤による排出量が計測対象に含まれていないケースもあり、課題は根深いものがあります。

「雪農場」という逆転の発想。断熱技術が夏を越す雪を守る

そんな中、注目を集めているのが「スノーファーム(雪農場)」と呼ばれる技術です。

北米では昨シーズン、アイダホ州のボガスベイスンとカナダ・ブリティッシュコロンビア州のサンピークスという2カ所のスキー場で初めて本格採用されました。

雪農場?と言うとイメージするのは雪を作物のように育てるの?と思ってしまうかもしれませんが、保存しておくといった意味合いが強いようです。

仕組みはシンプルです。

冬の間に降り積もった天然雪や人工雪を圧雪車でかき集め、サッカー場ほどの広大な敷地に4〜5階建てのビルほどの高さまで積み上げます。

そこに「スノーセキュア」と呼ばれる高性能断熱シートをアコーディオンのように広げて覆い、太陽光・熱・風・雨から雪を遮断する。

シート素材はフィンランドで住宅断熱材として使われていたもので、24時間体制の温度センサーもドームに埋め込まれています。

結果は明快でした。外気温が37度近くに達する真夏でもドーム内は4度前後に保たれ、ボガスベイスンでは豪雨と記録的猛暑にもかかわらず雪の80%を夏越しさせることに成功しました。

これはなにげに凄いですね。

導入コストはサンピークスで18万ドル、ボガスベイスンで12万ドル。
決して安くはありませんが、両スキー場とも「十分に元が取れた」という判断です。

雪の貯蔵自体は古代ペルシャの時代から行われてきた知恵ですが、現代の断熱技術と組み合わせることで、スキー産業の新たな武器になりつつあります。

ちなみに2034年冬季五輪のノルディックスキー会場として予定されているユタ州ソルジャーホロウでも、今春からこの技術の採用が始まっているとのことです。

北海道に直行便が飛ぶ時代。光と影の両面を見る

一方、日本のスキー場は二極化が進んでいます。

ユナイテッド航空がサンフランシスコ〜新千歳間にウィンターシーズン限定の直行便を新設すると発表するなど、北海道の粉雪は今や太平洋を越える価値を持ちつつあります。

ニセコや白馬には良質なパウダースノーを求める外国人スキーヤーが殺到し、滋賀のグランスノー奥伊吹は「寒い・ご飯がありきたり・荷物が重い」というネガティブ要素を次々と解消することで、1997年度の約5万人から2022年度には過去最多の約26万人まで入場客を伸ばしました。

ただし人気リゾートには別の課題もあります。

ニセコでは外国資本の流入によって物価が高騰し、ラーメン1杯3000円・おにぎり1個1000円という水準になるなど、地域住民の生活への影響が問題視されています。

観光客が増えてもインバウンド収入が外国資本に流れるオーバーツーリズムの構造は、持続可能な観光地経営という観点から見ると決して手放しで喜べるものではありません。

成功事例と課題の両面を冷静に見ておく必要があります。

技術とアイデアが、スキーの未来を変える

温暖化、国内需要の減少、オーバーツーリズム。
スキー産業を取り巻く課題は複層的です。

しかし、スノーファームのような技術革新や、グランスノー奥伊吹に代表されるサービス設計の工夫を見ると、問題の全てが手の届かないところにあるわけではないと感じます。

人工降雪機の登場が1950年代。
それ以来、約70年ぶりとも言える発想の転換が「雪農場」です。

冬に降った雪を夏まで貯めておき、開業日に合わせて取り出す。
シンプルですが、これは「雪は毎年空から降るものだ」という前提を疑うことで生まれた解決策です。

技術の真価は、複雑な問題をシンプルな発想で解くところにあります。
スキー場の未来も、技術とアイデア次第でまだ十分に変えられると思っています。
参考になれば幸いです。

それでは今日のところはこのあたりで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
ではまた。

本ウェブサイトに掲載されている情報は、特定の株式への投資勧誘を目的とするものではありません。株式に対する投資判断に際しては、本ウェブサイト掲載情報のみに依拠することはお控えください。株式の投資に関するご決定は、自らのご判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。

News
スポンサーリンク

コメント